カテゴリー別アーカイブ: ブログ

不測の事態に備える

看護や介護で「観察力」が求められますが

それは仕事で磨かれる以前に

日々の生活の中で培っておくものだと自分を顧みて思っています。

 

母94歳、私70歳。

典型的な老々介護ですが、救急搬送を3回経験しました。

家族は一番身近な看護師的存在。

例えば何か異変が起きたとき、

「普段の様子と違います」と抽象的な言い方をしないよう心がけています。

 

体温や血圧が普段どのような数値であるか記録を残し、

食欲や便通、便の臭い、軟便か水様便か等々、

出来るだけ詳細に観察、記録しておくことで異常度を推測します。

 

今、目の前に起きていることに対し、

感情を交えて話すのではなく、事実を把握し、

的確に、正確に伝える力。

 

起きた時間とその時の様子。

「何時頃、どのようなことが起き、どのような状態なのか」

 

的確に報告するためにはメモを残さないと記憶は常に曖昧なものです。

 

不測の事態が起きたとき、慌てなくてもいいように

予備知識を持って備えておく。

 

そのようにしておくことで処置を正確に、迅速にしていただける。

 

119番に電話をかけた時「火事ですか、救急ですか」

「今の様子、住所、名前、連絡先をお願いします」と矢継ぎ早に質問されました。

 

到着後、救急隊の方に「病歴、飲み薬は?」と聞かれ、

気が動転して咄嗟に思い出せない苦い思いをしたことが教訓となり、

忘れていても「記録に残すこと」で思い出せるように普段から備えています。

これが救急車を呼んだときに得た教訓です。

 

コロナ禍にあって、自分の体調についても体温や健康状態等、

具体的に記録をとるようにしておきましょう。

ご縁をいただいて

 

日にちは遡りますが今年10月、ご縁をいただき熊本市にある

医療型障害児入所施設・療養介護施設に研修に参りました。

 

これまで余りに感動が大きく、言葉を紡ぐことができませんでした。

 

こちらは重症心身障害児施設で入所利用者の療育だけではなく、

在宅の方も含めた障害児・者のための総合的な支援施設です。

 

テーマは「福祉従事者の接遇マナー」

~対人援助職として基本的な人と向き合う姿勢~

 

研修前夜に施設長をはじめ研修担当者と会食。

忌憚のない意見交換をし、当日は施設内をラウンドして

スタッフの働く姿を見学してから研修に入りましたが、

重症心身障害の利用者の世話をする職員の

信念を持って関わる真摯な姿を目の当たりにし、

研修前から感極まるものがありました。

 

研修では接遇五原則以前の「ひとりの人間として

大切にして欲しいこと」を伝えました。

そして福祉従事者としての「必須条件」と「十分条件」も。

必須条件とはテクニカルスキルを磨くこと。

十分条件とは人としての“思いやり”“優しさ”

“温かさ”が感じられる関わり。

つまりはヒューマンスキル(人間性)が高い人であって欲しいと…。

もう十分に出来る人たちですので、労をねぎらいながら

再確認のための時間になりました。

 

研修後、強く心に誓った思いがあります。

これからの時間、いままで以上に全力で

福祉の現場で働く人を支えて行くと…。

 

年の初めのご挨拶

「自分の信念を人からの信頼に変えることのできる人を目指す」

この言葉は2年前、

NHKプロフェッショナル

仕事の流儀で放映された

~食べることを、あきらめない~

食事介助の第一人者、看護師、小山珠美さんの言葉です。

 

自分を信じ、変わらぬ思いを貫き、

地道に、丁寧に積み重ねてきた時間が

より深い信頼につながり、

昨年は思いがけないご縁をいただきました。

 

それは2017年7月に神戸で開催された

2500名規模の第67回日本病院学会での

2日目7ブースワークショップの1ブース担当でした。

 

依頼を受けたときは怖いもの知らずで受諾。

学会担当者Nさんは、座長の社会医療法人I様の

数年前の新人研修受講生。

理事長に相談したら、是非、やってもらえと言われましたと・・。

 

全幅の信頼を得て、任された喜び。

講師業を生業(なりわい)とする私にとって

心奮い立つ思いが溢れる瞬間でした。

 

こちらの法人とは10年来のご縁。

現理事長とは3年目のご縁。

 

年に一度、350名の医療・福祉従事者の

新人研修時、ステージの上で話をされる

お姿を拝見するのみでしたが、

8月、直接お電話をいただき、

「僕は、接遇を法人の文化にしようと思っています。

つきましては一度話がしたいのでお越しいただけませんか」

と言われました。

 

それから2度、理事長室に伺いましたが、

『響き合う喜び』を感じながらの打ち合わせは至福の時でした。

 

「組織の一翼を担っている」と自負をしながら

新人研修、特に途中採用者接遇研修に力を注いできましたので、

来年度から理事長直轄で立ち上がる

人材育成推進本部の一員に任命されたことはこの上ない喜びでした。

 

今年講師歴20年を迎えますが、大手研修会社が数多存在する中で、

スモールオフィスのオフィス・スキッパーを

選び続けてくださることに深い感謝の念を持ちつつ、

謙虚に、誠実に、信念を信頼に変えて、

どのような職種であっても失ってはいけない

「人としてのマナー」をこれからも熱く伝えていきたいと

堅く心に誓った時間でした。

いきいきとした組織作りの極意

~日本病院学会原稿より~

私は19年の講師歴の中で10年前より医療と介護に特化して研修講師をしています。そこで感じることは、現場は人材の宝庫であるにもかかわらず、活かしきれていない現状があると…。

では、どのようにすればよりよい人材育成ができるのでしょうか。

人材を育てるとは、病気に例えれば、症状から病名を特定し、検査し、治療方針を立て治療するのと同じことだといえます。

まず、人材育成に対しどのような問題を抱えているか(症状把握)、そこからどのような人材を育成していきたいのか(治療方針)を明確にするプロセスあるのですが、方針を決める前に現状把握を丁寧することが前提にあります。

正直言って現状把握は結構面倒な作業であり、日々の業務に追われていると、ここで二の足を踏みたくなるのが当然の気持ちとして存在することは確かです。

そのような心境を踏まえたうえで、したくない理由や出来ない理由をアレコレ思い浮かべるのではなく、実践するために必要なことを、出来ることから始める方法や問題

解決のヒントを得ていただくのが今回のワークショップです。

このシンプルな思考の習慣を身につけることで、ワークショップに参加されたあなた自身に変化が起き、その相乗効果で現場のモチベーションも変化していきます。

まずは、疑いながらでも結構ですので参加してみてください。

シンプルな思考にこそ人材育成の極意はあります。

昨年ある病院で副主任研修1ヶ月後、現場育成の実践状況検証のため、受講した20名の看護師全員にヒアリングと悩みに対するカウセリング要素を含んだ具体的アドバイスをいたしました。

それぞれの部署や立場で部下育成や家庭との両立に悩みながら、看護への思いを持って頑張っている姿がそこにはありました。彼女や彼らたちはどのような職場環境を望んでいるのか、そこにどの病院にも共通する人材育成の大きなヒントが隠されているように思います。

医療現場で働くうちに、時として部署や同僚間の対人関係や目の前の業務に追われ、疲弊していく厳しい現実がありますが、初めからやる気が無い人などひとりも存在していないと強く感じました。

また最近の若い人の傾向として、どの業界においても目の前に起きる現実を受け入れる力が弱い傾向にあります。つまり専門分野の学習能力は結構高く成績も優秀で入職してくるけれど、対人力の低い人が増えていることも現実としてあります。

分かり易く言えばテクニカルスキルの知識は身につけてきているが、ヒューマンスキル(人間力)にやや難ありという人材なのです。

人材育成ルネッサンスとは、そのような若い人を一人前の社会人に育てていく作業があってのことだと思います。

その若い人たちを受け入れる医療現場の職場環境はいかがでしょうか。残念ながら成熟した理想の職場には程遠いものがあることも確かです。

しかしながらその現実がダメなのではありません。いい組織と言われるところが少ないことも前提条件とし、その現状での人材育成とはどのようなものなのか…でいいのだと私は考えます。

どこにでもあるきれいごとの一般論ではなく、所属する病院の現状にあった形の人材育成法を見つけていただくワークショップと位置づけ、科長職、主任の方々を主な対象者とし、実践しやすい内容にしております。

サロンオープンから10ヶ月を振り返って

Salon du Doux (サロン ド デュー)マダム、MAYUMIです。

 

27年前、10年近く勤めた

比叡山の眺めがよかったホテルの

ゲストサロンを懐かしく思い出しながら、

長年の夢であった、いろんな方との交流を深める

サロンを琵琶湖が一望できる大津京の高台にて、

1月にオープンしてから早10ヶ月が

過ぎようとしています。

 

サロンの名前は、Doux(デュー)

フランス語で「柔らかい」「心地よい」という意味。

訪れる人が心地よいと感じる空間でありたいと願って名づけました。

 

振り返れば、私は38歳の時(現在65歳)に

京都市内のホテルに

ゲストサロンマネージャーとして採用されました。

 

ゲストサロンはホテルでの奥座敷というコンセプトで、

日本の知的財産である学術、芸術、文学をはじめ、

あらゆるジャンルの方々がお越しになる場所でした。

 

ゲストサロンで一番大切にした接客は

「さりげなく、行き届く」

ゲストの方が寛げる場所。

5分で心の上着を脱いでいただけるよう

心掛けていたのを懐かしく思い出します。

 

一流と言われる方に共通していたのは、

どの方も人として非常に謙虚であったこと。

本当の教養や知性や品格とは、

どのようなものかも学ばせていただきました。

 

ゲストサロンでの勤務は、

仕草、言葉遣い、心遣い、目配り、気配り、

どれを欠いても成り立たない場所でした。

今があるのは、お目にかかった多くのゲストの方に

厳しく育てていただいた賜物だと思っております。

 

サロンでは

時に講座を楽しみながら心の豊かさを育み、

時にティータイムを楽しみながら自分を磨き、

時に一皿を囲み、ワインと会話を楽しむひと時を過ごす…。

そういったひと時をご一緒できたらと思っています。

五感を磨きながら、集うお互いが響き合い、つながり、

高めあえるサロンでありたいと願っております。